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日隈ブログ

2019年09月30日 ブログ

ハーバード浴〈特殊浴槽〉

 当院精神療養病棟に昨年ハーバード浴を導入しました。
 ハーバード浴とは、水治療に使われるハーバードタンクが語源で浴槽にお湯を溜めてストレッチャーで寝たきりの患者さんが寝たまま入浴できる機械浴です。

 入浴は、高齢者にとって大きな楽しみである一方、事故や急変など最も危険度の高い生活行動の一つです。同時に、入浴介助を行うスタッフにとって、身体的にも精神的にも大きな負担のかかる介助項目となっています。大浴槽は床が滑りやすいだけでなく手すりも少ないため転倒のリスクが増えます。また、浴槽内で排泄があっても、すぐに水を取り替えることが難しく不衛生になりがちでした。

 現在は個別の浴槽を使った入浴と、寝たままでお風呂に入れるハーバード浴を使用しています。シャワーだけでは得られない満足感があるようで患者さんに大好評です。また、スタッフにとっても、腰をかがめることなく介助ができるため、患者さんの表情や状態を観察しやすくなっています。

 安全面においてストレッチャーは上下に高さ調節でき安全ベルトが胸部、下肢の二カ所にあり患者さんが触って開かないよう3段階の手順を踏まないとストッパーが外れないよう設計されています。浴槽内でも体型に合わせ高さ調節ができ誤って、お湯を飲み込まないようストレッチャーの下降と同時に背中側は45度の角度がつく設計で使用するスタッフにとっても安心して操作できるようになっています。その他、浴槽内の温度表示、浴槽に入ってからの経過時間表示(3分を目安)など随所に細かな配慮がなされています。

 ジャグジーも装備しているため「気持ちいい。温泉のようだ」と喜びの声も聞かれます。さらに入浴剤を併用することで家庭での生活と同等か、それ以上の効果が期待できることがハーバード浴の強みでもあります。

 また皮膚トラブルの患者さんにおいては外用薬の治療も重要とは思いますが、まず清潔な皮膚の状態が基本にないと薬効も薄れてしまうため身体の清潔と温熱の血行促進で、より自然治癒力の上昇が期待できます。また関節が拘縮した患者さんは温熱、浮力効果で普段より関節の伸展がみられます。今後もハーバード浴を使用し掻痒感の軽減に努め、関節拘縮による皮膚の接触面を中心に介助しながら保清に努めたいと思います。

© Hinokuma Hospital.


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